「夏・遠い願いを抱いて〜夢を信じて〜」1992.8.25-26 夏公演
  主催:TBS 日本青年館 2回公演
  
時は夏休み。ここ東京近郊に僅かに残った丘陵地帯をぬう遊歩道を元気に駆け抜ける少女達の一群がいた。彼女達は秋に催されるオリエンテーリングの大会に向けて、トレーニングに余念がない。大会では、地図とコンパスを頼りに、指定されたポイントを通過するタイムを競うレースが行なわれるのだ。メンバーは同じ校区に住む中高生。レースは校区ごとの地区対抗戦である。
 さて、ある日のこと、みんなはメンバーの一人である中学生が、親にも内緒でアルバイトをしている事を知る。理由を問い正してみると、それは実験用の動物を助ける為だった。彼女の気持ちが分からないでもないみんなとしては、やめろと言う訳にも行かず対処に困ってしまう。まして彼女は大事な戦力なのだ。話し合いの結果、みんなはトレーニングを兼ねた肉体労働のアルバイトを始めることを決めた。
 それから数週間、とまどいや動揺のうちにも、みんなはいくらかのまとまったお金を稼ぎ出し、動物をもらい受けに行くが、管理している研究所では全く取り合ってはくれなかった。落胆と焦燥、全員、自分達の考えが甘かったことを思い知らされるが、落ち込んでばかりいても仕方がない。夏はまだ終わった訳じゃないのだ。みんなはあきらめない事を誓い合い、再びトレーニングに向かおうとする。
 しかしそんな矢先、更に追い撃ちをかけるような事件が持ち上がる。トレーニングと偽ってアルバイトをしていたと誤解された彼女達は、大会に出場できなくなってしまったのだ。たて続け起こったこれらの出来事に、みんなは打ちのめされてしまう。自然の中にいることが好きで、だから動物のこともほうっておけなかった彼女達。彼女達のしたことは、本当にまちがっていたのだろうか。そしてそのまま、彼女達は立ち直ることも出来ず夏は過ぎてしまうのだろうか。
 自分達の身にふりかかるさまざまな出来事になんとか立ち向かって行く少女達の姿を通して、素直に生きてゆくことの意味を見つめ直した物語。